JAM Project特集 第2弾! 遠藤正明インタビュー

先日NHKホールで国内ツアーの千秋楽を迎えたJAM Project。アニソンマガジンvol.4インタビューで紹介できなかったこぼれ話を含むインタビューを特別に公開します!


―― 遠藤さんの驚異的な歌唱力の原点、まずはルーツをおうかがいしたいのですが。

遠藤  小さい時から歌が好きでした。テレビで沢田研二さんを見て、「なんてこの人はセクシーなんだ」ってすごい憧れて。で、ちょうどうちの兄貴がフォークギターをやっていたので、教わって弾いたのが始まりです。中学の時に自分で曲を作るようになったんですけど、先輩とかを見ててバンドに憧れて、高校に入ってすぐにバンドを組みました。

―― その頃はどんなバンドをやっていたんですか?

遠藤  コピーバンドですね。うちの地元はバンドブームでみんな洋楽のコピーをやってたんですけど、目立ちたかったので邦楽を、ARBとかをコピーしてましたね。やっぱ日本語の方がボーカリストとして素直に通じるでしょ、言葉とか。そういう意味では歌い手としては、日本語の方が面白かったですね。

―― では、音楽でやっていこうと思ったのは?

遠藤  地元で人気者になるじゃないですか? そうしたら勘違いしますよね(笑)。「俺はプロになるんだ」って漠然と思ってましたね。で、高校卒業してプロになるってずっと決めてて。その頃めんたいロックがすごい流行ったじゃないですか。で、博多に行こうと思ったんですが、金を2万円しか持ってなかったのに、先輩とか後輩が見送りに来てくれたからカッコつけて新幹線に乗っちゃったんですよ。そしたら1万円かかるんですよね(笑)。東京まで来たら1万しかないんですよ。

―― 上京というより途中下車じゃないですか(笑)。

遠藤  最初は「おおー、よく来たな!」って言ってくれるんですけど、そのうち煙たがられるんですよ、2週間くらいいると(笑)。だからいつも置手紙で「このご恩は出世払いということで」って書いて転々としてました(笑)。で、最終的に先輩が横須賀の自衛隊に入ってると聞いて。「1回訓練で航海に出ちゃうと3ヵ月くらい帰ってこない」っていうんで、これはいいと思って、そこにお世話になろうと(笑)。行ったら、ちょうど訓練から帰ってきて半年くらい行かないって(笑)。「またかよ! また煙たがられるな」と思って、横須賀をプラプラしてたら、ドブ板通りにライブハウスがあったんです。そのままそこに履歴書を出して、そこでずっと働いてました。そこでいろいろな先輩にたくさんの事を教わりました。

―― そこはどんなライブハウスだったんですか?

遠藤  お客さんがほとんど外国人なんです。下手なバンドだと、もうブーイングがすごいんですよ。そのライブハウスに履歴書を持って行った時も「君、音楽やってるのか?」とかれて、「ボーカルをやってます」と言ったら「あ、じゃあ今日から来てくれ」って。なんでボーカルやってると今日からなんだろうな? とは思ったんですよ。そしたら、そのライブハウスでは、ブーイングが出ると即席でバンドを組んでステージに出されるんですよ。で、ちょうどボーカルが辞めた後で、「歌え!」って言われて。ロックンロールだったり、有名なのは知ってるんですけど、マニアックなのはあんまり知らなくて。そこでハードロックというか、いろんなものを勉強したというか、成長できましたね。

―― その頃からハードロックなどを聴くようになったんですか?

遠藤  そうですね。でも、中学とか高校の時に『ベストヒットUSA』だったり、そういうのをテレビで見て金髪に憧れて、ヴィンス・ニール(モトリー・クルーのボーカリスト)とかね、ああいうのを見て「これだぜ、絶対金髪で行こう」とか思って、ずっと金髪でしたね。

―― 金髪のルーツはヴィンス・ニールでしたか!

遠藤  そうですね。金髪はそこからですね。目立ちたいから、モテたいから(笑)。ああいうの大好きでした。モトリー・クルーだったり。

―― その後、活動拠点を横須賀から東京に移すわけですか?

遠藤  やっぱ東京に出てこないと話にならないと考えて、そこを辞めて東京に来たんです。その頃やっていたバンドに興味がなくなって、「辞めたいな」と思った時に新しく入ってきたギターの子がいたんですけど、その子と組んで「アコギで何かやろうか」って。ちょうど『UNPLUGED』(米MTVのアコースティック・スタイルの人気ライブ番組)とかが流行ってたときで、俺はフォークから入っていてそういうのが好きだったから、「日本人ってなんでアコギを弾くとフォークになるんだろう」と思って、「アコギでもロックができるんじゃないか」と話して、“アコースティック・ハードロック”っていう新しいジャンルを作ろうと、2人でやってたんです。それで、俺は、オーディションとかが大嫌いだったんですけど、その相方が隠れてオーディションにテープを出してて。本牧のアポロシアターというところで本選があったんですけど、「そこでライブやらない?」って言われて行ったら、そこがオーディションの決勝戦だったんですよ。その事を聞いてなかったからムカついて、2曲歌うところを6曲歌って帰ってきました(笑)。そしたらグランプリ獲ってて(爆笑)。

―― それがきっかけでデビューしたんですね。

遠藤  そのバンドは全然売れなくて。でも、その事務所に影山ヒロノブさんがいたんです。それが売れないでいる時に、ランティスの社長(井上俊次)に「アニソンを歌ってみないか?」と言われたんです。

―― それからさまざまなアニソンを歌われていますが、アニソンは子供から大人まで幅広く影響を与えるじゃないですか。この前テレビで、俳優の松山ケンイチさんが思い出の曲に遠藤さんの「勇者王誕生!」を挙げていました。

遠藤  そうらしいですね。いい子ですね(笑)。今って親や子供を殺したりする事件が平気で起こる時代で、家族の間でコミュニケーションが不足していると思うんですよ。そういう意味で、アニメ見てアニソンを一緒に歌ったりとか、親と子、友達同士で共通のアイテムのひとつになると思うし。そういう意味ではいい仕事に携わってるなと自分では思うし、アニソン通じていろいろな事ができるのかなと思います。

―― JAMでは、世界ツアーもそうですけど、国内ツアーも昨年に比べて会場の規模が大きくなってきていますよね。

遠藤  すごいことですよね。時間をかけてJAM Projectが大きくなって今があるんだなと思いました。7年かけないとここまではこれないだろうし、その時間をかけることにも意味があったとも思います。揺るがないものがJAM にできているのかなって。そういうのにみんなが共感してくれているのかな、と。もしもファンが一気に増えていたら、たぶん勘違いする人も出るだろうし。7年の時間をかけてきたところにJAMの良さがあるのかなと思います。

―― JAMでは昨年末に「SHURAKI」や、『ニコニコ動画』、さらには「もってけ!セーラーふく」のカバーがあったりと、さらに活動の幅が広くなってきていますよね。

遠藤  『らき☆すた』はね、「歌え」って言われたんですよ(笑)。まあでもね、楽しいことをやりたいなと。今って世の中に元気がないでしょ? JAMは性格的にもみんな明るいので、元気を与えられる集団でなきゃいけないのかなと思いますよね。「あんな大人になりたい」とか思ってくれたらいいのかなと。

―― 実際に、ネットなどでもそういう意見がありますよね。

遠藤  お、本当ですか? JAMはそうなれればいいのかなって思いますね。歌は当たり前だけど、性格というか、見ててみんなが笑顔になってくれるのがウチらの仕事かなと思います。

―― そして今年の話ですが、“No Border”というスローガンを掲げて発売されたシングルの方も予想以上にシリアスな内容という。

遠藤  最初に曲出しをした時は、みんなノリノリの、ライブのタイトルにもなるような発注で作ってたんですけど、結局兄さんが作ったAメロかBメロから広げていきたいってことで。兄さんが何度も作り直して今の歌になったんですけど、せっかくのオリジナル・ソングなので、普段はタイアップでやらせてもらってる中で曲を作って詞を書いてるんで、自分たちが言いたい事を、恥ずかしくなるくらいに面と向かって言ってもいいのかな? と。そういうことでやったら、ああいう暗い曲になりました(笑)。暗く重く。でも、そういうのも必要なんだと思いました。

―― あの曲のシリアスなテーマで、世界に出て行く事の意味合いがぐっと深まった印象があります。

遠藤  本当にそうですよね。アニソンってみんな笑顔で歌ってくれるし、本当に平和になれると思うんですよね。外国に行けば行くほど、アニソンはそういう力を持ってると感じます。「No Border」という曲は、他のアーティストではなくてJAMが、今このタイミングで歌うことに意味があるんだろうなって。

―― なるほど。一方、デビューされてから長く活動されていますが、ソロの方についてはどのように位置づけされていますか?

遠藤  歌が仕事なので、必要とされるコトにいつも感謝しているし、最初にやった時の気持ちのまま、いろいろな事にチャレンジしていきたいです。仕事はありがたく全部チャレンジしていきたいなと。目の前の敵を倒すのみですね(笑)。オリジナル・アルバムは、好き勝手に作らせてもらえるので、「この人はこういう事をやりたいんだな」とか「こういう事を考えてるんだ」とか、アニソンから知ってくれてる人は「こいつは何を考えてるんだろう?」と思っていると思うので、「遠藤ってこういうこと考えてるんだ」とか「こういう恋愛観を持っているんだ」とか、そういうことを考えてほしいです。オリジナル・アルバムっていうのはコンスタントに出していきたいですね。

―― では、これからもどんどん歌っていく、と。

遠藤  うん。いまさら社会復帰しろって言われたってできないしね(笑)。だから歌はずっと歌っていきたいなと。いい先輩たちがいっぱいいるので、俺も生涯現役で歌いたいと思いますね。この間、フランスのミュージシャンが世界ツアーをしていて、日本公演で引退したっていう話をウチの兄さん(影山)がしてたんです。「何歳だと思う?」って言われて「何歳ですか?」って聞いたら90何歳なんですって。それで世界を周っているんだって。ということは「今からローン組めるな!」とかいろいろ考えるじゃないですか(笑)。90まで歌えると思うと、まだまだだなって思いますね。今までの15年を振り返るのであれば、すごい未熟だったなと。やっと今になって自分でコントロールできる歌い方とか、目標をきちんと見たりとかができるようになってきたんです。そう思うと、これからは面白いですよね。

―― 90歳まで歌う遠藤さんっていうのも見てみたいですね!

遠藤  そうですね、90まで。新しいことにチャレンジするのって楽しいし、それが活力になるし。今年も立ち止まりたくはないなって思います。




2008年04月23日

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