2ndアルバム『someday』ゆうまおインタビュー

シンガーとして、音楽作家として、アニソン・ファンから絶大な支持を集めるゆうまおの最新アルバム『someday』が、ついにリリースされました! ご本人にこのアルバムについて掘り下げて語っていただきました。これを読めば『someday』を何倍も楽しめます!(文:冨田明宏)



―― まず、2ndアルバム『someday』を完成させた、率直な感想から聞かせてください。

ゆうまお  制作期間にテンションの波があったので、モチベーションをずっと保っていくのが大変でしたね。あと、今回はやることがたくさんあったんです。今まではアレンジャーさん任せの部分が多かったのですが、自分でアレンジを手掛けたりもして、プロデューサー感覚でレコーディングに望んだんですよ。

―― レコーディングの中で、特に印象に残っている楽曲はありますか?

ゆうまお  「Black cat on the piano」という曲ですね。素晴らしいドラム、ベース、ギターの方に来ていただいて、私のピアノを交えた4人編成でレコーディングしたんです。演奏に関しては「もう好きにやってください!」って感じだったんですよ。ここでこういうキメがあって、という大まかな流れは決まっていたんですけど、あとはもう、「オレ、こんなテクニックあるぜ?」というのを、どんどんどんどん出してもらった1曲なんです。なかなか無いですよね?(笑)。 そこまで自由にやらせてもらえるのって、すごく幸せだと思って。

―― この曲、アルバムの中では異質と言って良いくらいに生々しい感じがするんですけど、この質感が堪らなくカッコいいですよね。

ゆうまお  ホントですか?嬉しいです。

―― 歌詞の描写も面白くて。これは、猫の視点ですよね?

ゆうまお  そうなんですよ。いつも使っている椅子にカバーをしているんですけど、それが、鍵盤の上を黒猫が歩いてるという絵柄のタオルなんですね。それを見ていて、可愛いなあと思って。そして、猫が誰かのために頑張ってニャンニャン音を出してる様子は、さらに可愛いだろうと思って、書き始めたんです。そしたら、ブラックで小生意気な感じになってしまって。飼われている雄猫が、飼い主の女の子が好きで、その女の子は酷い男に振り回されているんです。いつも家に帰ってくると泣いていて、それを黒猫は見ていて、「ああ、僕が人間だったら、あなたのことを幸せにするのに。泣かないで、僕を置いていかないで!」と。その気持ちを、ピアノの上でニャーンと弾いてる感じなんですよ。

―― 黒猫の叶わぬ恋ですね。途中で転調したり、すごくストーリー性のある曲で。

ゆうまお  聴いてますねー(笑)。

―― もちろんですよ(笑)。では、ここからは何曲かピックアップしてお話いただこうと思います。まず1曲目ですが、最初に「クラブハウスサンド」を持ってきて。

ゆうまお  はい。イントロで決めましたね。やっぱり1曲目って、CD入れてバンと鳴る感じだから、一番勢いがある曲を選んだんですよ。「クラブハウスサンド」は、一番それが似合っていたというか、オープニングに相応しいイントロを持っていたんです。「これはオープニングしかない!」という感じで、パッと決まりました。

―― 初めから一貫したイメージがあって、どんどん作っていった、という感じなんですか?

ゆうまお  やっぱり自分で作詞作曲して、ピアノを弾いてボーカル・ディレクションをやって……となると、トータルのことが一番わかるのは自分ですからね。いちミュージシャンでもなく、いち歌い手でもなく、「プロデューサーゆうまおです!」という気持ちで、いつもスタジオに行っていました。

―― 次に「答案用紙」という曲。ブラス・アレンジが気持ちいい曲ですよね。

ゆうまお  はい。「クラブハウスサンド」は、大学の青春時代を切り取って書いているんですけど、「答案用紙」はもうちょっと前の、中学~小学校高学年くらいで、まだ“青春”っていう言葉も使えないくらい若い気持ちなんですよ。幼なじみというか、その相手とずっと共に歩いてきて、今の僕達と答え合わせという、叶わぬ恋なんですよね。仲良くなりすぎちゃって言えない感情ってあるじゃないですか? 壊したくないから、ずっと一緒にいたいけど言えなかった。そう判断した僕達と、今の僕達と照らし合わせて、答え合わせをしよう、という意味での“答案用紙”です。「いつの日か渡した青い手紙」という切り口で始まるんですけど、要するに、その青い手紙=ラブレターが答案用紙だということを言っているんです。この曲を作る前に、実際に同窓会があったんですよ。高校の同窓会だったんですけど、10年前の友達に会って、楽しいなと思った部分と、変わっちゃって寂しいなと思う部分と、いろいろな気持ちがグジャグジャになって、その日はすごくアンニュイな気分になったんです。そこで、「これを曲にするべきかな?」って思ったんですよ。また10年後に同窓会をやるといって別れたんですけど、10年後は書けないと思ったので、じゃあ今、このアンニュイな気持ちを自分の中で一回浄化させようと思って。

―― 興味深いお話ですね。次は「ノウティス」です。この曲のアレンジャーさんはどなたですか?

ゆうまお  末廣健一郎さんですね。「ジンジャーエール」もやってくださった。

―― なるほど。この曲、すごく新しい感じがしたんですよ。

ゆうまお  末廣さんも同年代の方で、まだ若い、まさに新進気鋭のアレンジャーさんです。「ノウティス」は和訳すると「気付く」という事で、何に気付いたかと言うと、“今自分の隣にいる人が、自分にとって最後の恋人だ”という事なんですね。だから、「多分この人と結婚するんじゃないのかな?」というイメージを歌ったんです。本当は、最後の恋かどうかなんて、誰にも分からないじゃないですか? 「もっといい人がいるかもしれない」と思いながら、もっともっと幸せに対して欲張りになっていくものだと思うんですけど、「この人だ」と気が付く瞬間って、多分こういう、傍にいて包み込まれたら、涙がフーって出てきて何にも言えなくなっちゃう瞬間じゃないのかな? と思って。珍しいですね、こういう曲を書くのは。

―― 次の曲「蒼空にくちづけたら」という曲がありますけど、この曲はアニメ『sola』のイメージソングですね。

ゆうまお  依人くんという男の子のイメージソングという事だったんですけど、別に依人くんでなくても良くて、万人がこういうことを思っていても、良いかもしれないと思っています。一つとして同じ空はないっていう、そういう毎日を過ごしていく中で、自分の大切な人と、いつか一緒に空を飛んでる感じになれたらいいな、という曲ですね。この曲も、2時間くらいで一気に書けたんですよ。書く前に、実際に空を見ようと思って、自転車をこいで一番綺麗な景色の所にいってみたんです。ずっと空を見ていた時に、「青空にくちづけたらどうなるかな……?」って。絶対に出来ないけど、口づけたいくらい好きなんだ! っていう気持ちを描写したんです。

―― ゆうまおさんは、いつも実際にその曲の中に自分を置きますよね?「スイートホームソング」もそうですが、やはりそういう部分は、大事にしたいと?

ゆうまお  そうですね。自信を持ってそのフレーズを書きたいんですよ。絶対に嘘は書きたくないというか。できるだけ理由付けをしたいと思うんですよね。だから、『sola』だったら空を見に行くし、写真もいっぱい撮るし、イメージソングだったらそのキャラクターと同じ行動をする。依人くんは空の写真をいっぱい撮る人だったので、私もケータイですけどいろんな角度で空を撮ってみて。「確かにおんなじ空はないなあ」とか思って、気持ちを近づける努力はしましたね。

―― それはやはり、アニメの主題歌であるとか、イメージソングを作る時に、忘れちゃならないことなのかな、と感じますね。

ゆうまお  ですね。私はマストだと思います。

―― ユーザーの視点が分かる方って、聴き手としても信用できると思うんですよ。さすが、『アニメージュ』を購読されていただけありますね!

ゆうまお  ええ、そうですとも! ちなみに、友達のファンロードも読んでました!

―― ファンロードも読んでましたか(笑)。でも、その視点は大事ですよね。次に、セルフカバー曲で「戻れない証拠」という曲があります。今、この曲を歌おうと思われたのは、何故ですか?

ゆうまお  それまでのセルフカバーでは、オリジナルと違うことをやろうという気持ちがあったんですよ。実際、作品を作ったのは私だから自分が歌ったバージョンで、新鮮な感じで聴いてもらおう、という気持ちだったんですけど、これについては、オリジナルの伊藤静さんの歌が完璧だったんですよね。だから逆に、やる必要はないかなとも思ったんですけど、完璧だからこそ自分で歌いたかったというか。伊藤静さんのオリジナルを初めて聴いた時の印象が忘れられなくて。思い切り泣けたんですよ。ほんっとに「作家をやっていて良かった!」と思えたというか、「たまにこういうことがあるから止められないんだよねー」っていう気持ちにさせられたんです。それで本人にも直接メールして「すごい良かったよ!」って送ったら、「ゆうまおが良い曲を書いてくれたから、私もすごい頑張った。ゆうまおの曲を、もっといっぱい歌いたい」って、すごく嬉しいメールが返ってきて。その嬉しかった事が、自分の思い出の中に強く残っています。その気持ちを、大事にしたかったんです。歌い回しとかも、多分伊藤さんに似てたりするんですよ。この曲は、伊藤静さんが歌わなかったらこういう風にはならなかっただろうなって思うんです。超リスペクトですね。

―― 次は「someday」、アルバムのタイトル曲ですね。現在の肯定と感謝という、今のゆうまおさんのすごく素直なお気持ちなんだろうな、と思いました。この楽曲は、どのようにして生まれた曲ですか?

ゆうまお  「someday」は直訳するといつか、未来についての“いつか”なんですけど、今現在の私も、昔の自分にとってはsomedayな訳で、音楽家になりたいなって思っていた頃の自分が、今の私を見たら「よかった」と、思えるような自分ではあると思うんですよ。寄り道もしたけど、今自分がいる場所は夢に描いた未来だって。「someday 夢に描いた未来はきっとここだ」と歌ってるのは、今の自分の事です。音楽をちゃんとやっている自分。今の自分に本当に感謝する事と、未来の自分に期待するっていう、過去・現在・未来という流れを、この曲に、2分くらいの短い曲なんですけど込めました。多分、1stアルバムの時期の自分だったら、ここまでは言えなかったと思うですね。大きなことを、シンプルに歌いたかったんです。「アルバムを1枚通していろいろ歌ってきたけど、私が言いたかったのは結局これだよ」って。この曲が割と制作初期の段階にあって、それでもう「アルバムのタイトルは“someday”にしよう、これに向かってこのアルバム作ろう」と思ったんです。いろいろな曲を経て、行き着くところは「幸せになれ!」っていう事ですね。よくできたお話ですよ(笑)。

―― 聴いてる人は、身につまされるというか、考えると思うんです。今の自分は、子供の頃の自分が見たら、認めてくれるだろうか? とか。小さい時に思い描いていた自分になれているのかな? って。

ゆうまお  本当は私、26歳で結婚する予定だったんですけどねえ。おっかしーなー?

―― (笑)。改めて、このアルバムはシンガーとしてももちろんですが、音楽作家として、女性としてのゆうまおさんの魅力が、ギュッと凝縮された作品ですね。

ゆうまお  “ゆうまお”という存在を、作家として知っている方は安心して聴いていただけると思いますし、『あさっての方向。』や、『げんしけん2』、『sola]で私の事を知って下さった方は、別の顔に驚くと思います。そして、デビューから聴いてきてくれている方は、成長した私を感じてくれると思うんですね。この1年半で、いろいろ成長ができたと思っているので。1年半前の私のことを知ってる人がこれを聴いて「ゆうまお成長したじゃん」って、思ってもらえたら大成功かなと思います。

―― では最後の質問ですが、今後の展望を聞かせてください。

ゆうまお  2008年は、音楽をやっている自分のことを、もっともっと好きになる年にしたいんですよ。昔ですね、「ゆうまおは28歳でものすごい大ヒットすると思う」って言われて。

―― それは、占い師さんとかに言われたんですか?

ゆうまお  いや、10年前に出会った友達に言われたんですよ。その子も音楽をやっていたんですが、20歳くらいの時に、「君のやってる音楽は、28歳くらいでものすごい大成功すると思う」って。その時は「あと8年もかかるの? 嫌な事を言うやつだなぁ」なんて思っていたんですけど、それがあっという間でして(笑)。しかも私の誕生日が2月11日なので、『someday』の発売は28歳になってすぐのリリースなんですよ! だから、何かが起こるんじゃないかな? と、なんとなく思っていて。2008年は、私がひとつひとつ納得しながら音楽をやっていける年になるんじゃないかなと思っています。まず、この『someday』というアルバムが、すでにミラクルなアルバムですから。


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someday
発売日:2008年2月14日
品番:LACA-5740
発売元:ランティス
税込価格¥3,000
タワーレコード渋谷店にて、発売記念イベント開催






収録内容:
1.クラブハウスサンド
2.Mr.ロンリーガール
3.答案用紙
4.ジンジャーエール
5.ノウティス
6.蒼空にくちづけたら
7.Black cat on the piano
8.戻れない証拠
9.スイートホームソング
10.a direction of the day after tomorrow
11.someday
12.fine






3月8日発売『アニソンマガジンvol.4』でも、ゆうまおさんのインタビューを掲載。
こちらでも『someday』について語っていただいております。是非とも合わせてご覧ください。




2008年02月14日

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