JAM Project特集! きただにひろしインタビュー
『アニソンマガジンVol.3』で熱い話を聞かせてくれた、“ダニー”こときただにひろし。紙面の都合で本誌に載せられなかったインタビューを、ここでお届けします!
(文:澄川龍一)
―― JAM としても個人としても今年は非常に精力的な1年でしたよね。JAMでは年頭からツアーがあって、アルバムも出し。一方ソロとしてもマンスリー・ライブがあり、毎月新曲を書き …… 。
きただに もう来月の新曲の締め切りが ……やばい(笑)。これまたプレッシャーですね。 JAM の新曲もあるし、他の曲の発注もありますから、それも書いたりで。でも、今年はそのマンスリー・ライブができて、すごく良かったと思うんですよ。新曲を毎月書くというのはかなりプレッシャーで、最初は「本当にできるのかよ」と思ったんですけど。自分が納得いかなかったものを時間がないことを理由にしてそのまま出すのも嫌なんですよ。なので、短い期間で納得いくまでに仕上げるという作業もあって …… 。これをやったことで、自分の作曲家としてのスキルもアップすると思うんですね。やったことを何かの形として残せるのは、すごく良いことだと思う。 JAM の全国ツアーもそうだったと思うんですよ。福岡も含め仙台とかは、正直最初はお客さんがどれくらい来てくれるのかなと思ったんですけど、福岡には韓国のファンも来てくださって。仙台も遠いんですけど、北海道の方からすれば東京より近いじゃないですか。それまで JAM を観られなかった北海道や青森の東北の子たちが集結してくれていたみたいで、ファンレターとかを読むと「やっと JAM を 生で感じ ら れました」と。そういうのが涙が出るくらい嬉しいんですよね。俺の気持ち的には、本当だったらもっと近くまで行ってあげたい。なかなか簡単には行けないけど、俺らが頑張って JAM がもっと売れれば、いろいろなところに行って、観てもらえる人も増えると思うし。そのためには、階段をちょっとずつ昇っていくしかないなと思います。会場にしても、 どんどん 規模が大きくなっているので、「次は」「次は」 …… と頑張っていければなと思ってます。
―― アルバム『 Big Bang 』にしても、 JAM はいつも今までと違うものを必ず提示していますよね。サウンドに関しても、楽曲を採用する方法にしても、民主的な雰囲気がさらに強まった感があるんですが。
きただに いつも影山兄さんが言っているんですが、 “JAM は手作り ” というのをすごく大事にしてると思うんですよ。『 Big Bang 』は特にそうなんですけど、 今 までも手作りだったんですけど、河野(陽吾)・須藤(賢一)組にずっとべったりだったんです。でも、アレンジャーを変えたことで、サウンドがかなり変わる。「 Divine love 」とか「 IN FATE 」とかは毛色が違うじゃないですか。やっぱり、いろいろなことをやってみるのは大事だと思うんで。なあなあにならないで、「何か刺激を」という意識が大切だと思うんです。その中でいろいろチャレンジしていく。新曲のコンペにしてもそうだし、ライブの選曲にしてもいつも絶対民主主義を採ってます。
―― 奥井さんが仰っていたのですが、レコーディングするときは歌う人によってディレクションする人も変わるんですね。
きただに そう、変わりますね。 JAM は最良のものを目指しているので。最初にパートをぱっと決めて歌うじゃないですか。「これはちょっと違うかな」と思ったら、すぐ違う人にチェンジするんですよ。誰が一番的確なのか試しながらレコーディングするから、時間がかかるんですが、誰もが聴いて「 OK 」だったり、「これは違うかもしれない」とか、意見を出しますね。ボトムにある影山・きただにが低いパート、遠藤・福山が真ん中のパート、女性陣が高いパートという3声和音は基本的には崩さないんです。声のキーの問題ですね。でもソロのパートは、今回の『朱羅姫』なんかでは結構トライしてますね。例えば女子がすごい低いところを歌ったりとか。『朱羅姫』は主人公が女性なので、「これもありなんじゃない?」ということで。あれはフィギュアですけど、アニメ自体の世界観もやっぱり重要だと思うんですよね。『セイント・ビースト』で主題歌を歌った女性のアーティストは、当然ですけど一人もいないんですよね。作品のファンが 100 %女性でなので。今回は JAM が歌わせてもらって、最後のところでちょろっとだけ、まっくんが歌っているんですけど、『セイント・ビースト』の主題歌で女性の声が入ったのは史上初なんです。これも、ちょっとしてやったりなんですけどね(笑)。まぁ、 JAM だからこそできるというか。
―― 「 IN FATE 」など、JAM でもきただにさんが作詞作曲された曲も出てきましたしね。
きただに それがすごく嬉しいです。家で曲を書いていると不安になりますし、できた作品は自分の子供みたいなものなので。自分の作品が認められるのは、正直めちゃめちゃ嬉しいことです。あとは、自分が言いたかったことをみんなに聴いてもらえるというのも。マンスリー・ライブにしても、基本的に東京でしかやっていないので遠くに住んでいたりして来られない人がいるじゃないですか。来たくても来れない遠い子にも、僕たちのバンドの演奏を聴いて感じてもらえる。やっぱり楽曲を認められるということは、のちのちそういう形にできることも増えていくと思うんですよ。新曲を JAM のコンペにかけるのは、すごい勉強になるんです。みんなすごい作家さんばっかりなので、なかなか勝ち抜くのは難しいですけど。でも、出すからには勝つ気で出してますから。まあ勝ち負けじゃないんだろうな。勝つというよりは、自分の思いを出してる。来年の1月 23 日発売の JAM の新曲(「 No Border 」)はシングル初のタイアップのない曲ですから、これもチャレンジだと思うんですよね。今までアニメやゲームの歌を歌ってきていたのが、今回はどこまで支持されるかということで。今までオリジナル曲はアルバムでしかやってないですからね。
―― 来年も来年で 、 休めそうにないスケジュールですよね。
きただに まずシングルを1月 23 日に出して、日本ツアー。さらに6月から海外ツアーですね。でもこれは夢であり希望でしたから、やり遂げたいですね。
―― JAM によって新しい歴史を作ることになりますね。
きただに やっぱりね、 JAM はそうあるべきだと思うんですよ。まず、パイオニアというか一番手であるというのが大事だと思うんですね。ニコ動に関してもそうだと思うんですけど(笑)。リスクはかなりあると思うんですよ。実際、どうするかの会議をしました。でも、 JAM というのは「いくぞ!」と思ったら、一番最初にやらなきゃいけないと思っているので。
―― ニコ動のコメントや海外のファンとのお話しもそうですが、ファンとのコンタクトは大切にしていきたいという思いはありますか?
きただに そうですね。ファンとの距離感というか …… 。まず “ ファンあっての ” というのがありますね。ファンの意見も聞きたいし、一般記者会見で入ってもらったのもそうだし、どう思っているのかは常にアンテナを張って感じられるようにしておきたいですよね。「この曲はこう盛り上がってくれるんだ」とかファンから習う部分もありますし。ニコ動とか見ると 、 嬉しいし面白いですよ。「スーパーロボ」とか、みんなこういうコール&レスポンス大好きなんだなあと(笑)。楽しいですよね。ああいうのに参加したいなとか思ったし。
―― きただにさんといえば、 “ ダニーソード ” を筆頭にステージ栄えするアクションが多いですが、あれも元来の目立ちたい気質からですか(笑)?
きただに そうですね。 Lapis Lazuli でビジュアルっぽいことをやっていたのもあるし。あと、わかりやすい歌詞のところ、俺かなりたくさんの曲で闇を切り裂いてますから(笑)、「闇を切り裂くっていったらこれしかないでしょう!」って感じで。みんなと一緒にアクションする振り付けは必要じゃないですか。「天を切り裂く~ ♪ 」(「 SKILL 」の一節)で一緒にこう同じポーズをすると、スカッとするし気持ちいいわけですよ。キメのポーズがあればみんな乗ってくれるし、あれだけ盛り上がるのは自然発生なんですけど、それをファンはこう盛り上がってくれているというのを知ったのは、やっぱりインターネットからですね。なるほどと思って、ステージングはいろいろ考えてますけど、大まかなポイントだけですね。あとは、サウンドから出るもの、ただ出してるだけなんですけど、サウンドが持ってるもの「 The Gate of the Hell 」だったらそういうノリになるだろうし。歌詞やサウンド、アニソンでは、言葉が持っている熱とか色とか匂いだったりあるじゃないですか。「灼熱」という言葉は、なかなか弱く歌いませんよね。そういう、ガーッ! となるところは言葉も重くなるだろうし。言葉が持っているものを、そのまま体を通してパフォーマンスに出てるのがほとんどだと思いますね。自然にそういう風になる。「 BATTLE COMUNICATION 」みたいに楽しい曲は、本当にみんなが楽しくやるとか、歌や言葉は基本的にそういうものだと思うんですよ。
―― 言葉もそうですが、歌う表情というか、発散する感情も重要なんですね。
きただに たぶんそう。笑顔で歌えば笑顔が伝わるし、そういうのが大事だと思うんですよ。ライブ で 中段くらいのあの子に “ 灼熱の炎 ” をぶつけようとしたら、目はその子の方を向いて、マイクは通してるけどそこまで届くような声を出してると思うんですね。「声のビーム!」は行ってると思う(笑)。しかも言葉がわかりやすいから、さらに感じるものが大きくなると思うんですけど、体を介してお客さんにそういう気持ちの矢を放つわけです。ライブだと、パフォーマンスは絶対的に重要なところに置いてるんですね。歌うことも大事ですけど、それ以上に。こっちがすごい楽しんでいると、お客さんに伝わるわけですよ。逆に、本人が楽しんでないのに楽しんでるフリをしたらバレちゃうんです。「あれ? なんか今日 、 元気ないんじゃない?」なんて見抜かれてしまう。自分ではそんな素振りを見せているつもりはないんですけどね。で、特にボーカリストは精神的な部分があからさまに出るじゃないですか(笑)。本当にメンタルな楽器なんですよね。
―― また、ライブでは「 SKILL 部長」としても活躍されていますが(笑)。
きただに あれも偶発的にリハで決まったことで、本当はひとりずつやるはずだったんです。 で、 俺は隣の県出身だから「福岡やります」と立候補して。リハで遊び半分で福岡弁で「~しとっとや」と言ったら、「いいねえ。お まえ 全部やれよ」と影山さんから、軽い命令で(笑)。「東京の方言ってなんやねん」という話になって、「江戸弁?」かと思ってインターネットで調べたんですけど、「~だってばよー」ってナルトっぽくなっちゃうんですよね(笑)。 でも、 面白かったですよ。みんな盛り上がってくれたし、良かったと思いました。
―― 最後に、きただにさんにとって JAM とは何か、そして歌うこととは何か 、 お聞かせください。
きただに JAMは“道場”だと思うんですよ。レコーディング、リハーサル、ライブは道場。で、普段話し合いとかで6人集まった時、レコーディングしてない時、食事してる時なんかは“学級”だと思うんです。しかも小学校の(笑)。兄さん見てたら「これ 46 のおっさんかよ~」って思いますよ。まっくんも、兄さんの股間を蹴ったりするんですよ(笑)。でもそういう少年少女の瞳を持っているからこそ、ああいういい歌を歌えるのかもと思うんですね。だから、JAMは学級と道場ですね。歌うことは、背負った使命だと思います。あとは、継承。デビューしてから 13 年、歌うという使命があって、今はJAMの看板も一緒に背負っている。みんなに歌を伝えることは大前提なんですけど、次に出てくるアニソン歌手に「アニソンとはこういうものだ」というものを継承していく、中間の役割だと思うんですよ。僕らの前に影山さん、水木さん、ささきいさおさんたちがいて、その次に僕らがいるんだとしたら。みんなの役に立つものがあれば何でも言ってあげるし、「なんでもどうぞ」みたいなオープンな感じで門は開いていたいと思いますね。
―― 影山さんや福山さんも、もっと若手に出てきてほしいとおっしゃっていました。
きただに ねぇ。なんか年上のところだけ固まってますよね。ただ、最近は声優さんが歌の方面でも活躍してるじゃないですか。歌える声優さんが出てきたのは、すごくいいことだと思います。あと、“ 日本のアニソン ”という、すごい文化を絶やしちゃだめだと思うんですよね。アニメのために作ったアニソンは絶対に必要なんですよ。それは声優さんが歌うキャラソンでもいいと思うんですよ。歌詞の中に技の名前が出てくるようなストレートなものは絶対に必要だと思うし、それが絵を見ながらハマった瞬間に1+1=100くらいになる。この絵を見たらあのサウンドが流れてくる、このサウンドを聴いたらあの絵が出てくる。そういう相乗効果で盛り上がるじゃないですか。ルフィが 仲間と海に出るとき、曲のイントロが流れただけでワクワクする。アニソンとはそういうものだと思います 。



























