JIMANGニューアルバム『Eros』発売記念ロングインタビュー
愛と欲望を語るシンガーソングライター、JIMANG。待望のニューアルバム『Eros』は、「全曲シングルカット可能」と言ってしまえるほど濃厚で、キャッチーで、そして何より美しい。ラブソングをさまざまな角度から切り取った語り部は、この作品に何を込めたのか? JIMANGだからこそ作り得た傑作を、じっくり濃厚に語っていただいたロングインタビュー!
(インタビュー・文/澄川龍一)
<JIMANGプロフィール>
ソロアーティストとしての活動のほか、様々なプロジェクトに参加している。
幻想楽団“Sound Horizon”ではゲストボーカリストを担当し、Abyss、Savant、離散の老預言者など多彩なキャラクターを演じるかたわら、MCとしてライブを盛り上げる一流のムードメーカーでもある。
9月にはTVアニメーション『うみねこのなく頃に』エンディングテーマをリリースし好評を得ている。
■シングルカットを前提としたアルバム作り
――12月23日リリースになりますニューアルバム『Eros』ですが、制作するにあたって、どんな構想があったんですか?
JIMANG (アルバム制作と同時に)シングルの話もあったんですよ。で、昨年の10月ぐらいから曲を書き始めまして、丸1年かけて作ったんですけど、結局アルバムを出すよってなったときに、シングルカットできるように作ろうと思いましたね。それは普通のアルバムの楽曲とちょっと違うかなって思うんです。キャッチーさもそうなんですけど、骨組みの部分で、ちょっと大変な目に遭うぞっていうところで頑張りましたね。
――なるほど。いわゆる先行シングルが軸になってアルバムになる方法論ではなく、アルバムからリカットできるような。
JIMANG そうですね。もう洋楽みたいな感じですね。早くにやりたかったんですけど、結構時間かかったりするんですよね。作詞作曲をやるじゃないですか。で、いままではアレンジとかもやっていたんで、そうなるとなかなかこうシングルカット全部するぞ、ぐらいなものまでやるのは結構骨折れましてね。例えばシングルカットしようと思ったら、同じようなジャンルの楽曲ばっかりじゃ駄目じゃないですか。いろんなジャンルで満遍なく網羅しないとっていう部分は自分の中にもあるんですけど。バリエーションみたいなね。
――まさにそのとおりの内容ですよね。ヘヴィーな楽曲から美しいバラードまで、本当にバラエティーに富んでいますし、またそれがキャッチーという括りで表現されているというか。そのあたりは意識されました?
JIMANG まずそこは気にしましたね。歌えるメロディーというのはね、まあJIMANGというシンガーはですね、意外に能力が高い方なんですよ(笑)。だから歌えないような曲を書いちゃったりする部分がちょっとあるので、どこかやっぱりキャッチーなサビとかを歌いやすく……っていうのは考えましたね。でも歌いにくいんですけどね。「桜 POP」とかポップなんだけど、ものすごい歌いにくかったりするんですよね(笑)。
――確かに(笑)。
JIMANG やっぱりシンガーソングライターが書くでしょ? 自分が歌って気持ち良くて、なおかつその新しいハードルを飛ぼうと思うから、結構歌いづらく作っちゃうんですよ。そこが皆さんカラオケで歌うのに気持ち良くないみたいな。そういう部分は周りから結構言われてましたけどね。そこもちょっと踏まえて考えた部分はありますね。
――確かに全体的なサウンドやメロディーが耳に残りやすい印象はありますよね。
■アレンジ担当の“うっとり商会”?
JIMANG あと、そのサウンドの聴きやすさはアレンジャーさんの、なんていうかエンターテイメントさっていうのはありますよね。ギターの方(福田真一朗)と鍵盤の方(佐々木聡作)とのユニットなんですよ。“うっとり商会”っていう(笑)。
――うっとり商会(笑)。
JIMANG 多分、これからいろんなところで顔を出す2人なんじゃないかなと思うんですけど、やっぱり鍵盤の方とギターの方が一緒に組んでるのは理に適った感じなんですよね。ギターの方がやるコードアレンジって、ジョン・レノンとかもそうなんですけど、結構あっちこっちに行っちゃう破天荒な、先が読めないところがあって、そこをキーボードの方がうまく鍵盤の上で聴きやすくするという。で、お互いに80年代ポップスとかも好きなんですよ。そういうバランスだったので、重くなく、でも軽くないっていういい感じができたんじゃないですかね。
――うっとり商会と一緒にやっていく中で、JIMANGさんのヴォーカルやメロディーメイクで変化があったりはしましたか?
JIMANG ありましたねぇ……。まずねえ、メロディーが変わった曲が……「Hi Hi MONKEY DANCE」がガラっと変わりましたね。アレンジャーなのにメロディー変えるってどうよ(笑)。あの「Hi~Hi~ド我らはしょげない~♪」はポカスカジャンさんと一緒にやったんですけど、あそこのBメロはもうまるっきりこっちが対応しましたね(笑)。あのノリがすごく良かったのと、自分もどういうアレンジにするかなって悩んでたのもあるんですよね。これに乗っちゃおうみたいな部分はありましたね。
――その「Hi Hi MONKEY DANCE」にポカスカジャンさんが参加された経緯は?
JIMANG 彼らのラジオにゲストとして出させていただいたんですよ。で、ポカスカさんの中山省吾くんと郷里が一緒だった。実家がすごく近いところにありましてね。そこで「なんかやりたいねー」みたいなこと言ってまして。「あ、じゃあこの曲かな」みたいな。実際オカマの掛け合いみたいになっているんですけど、これは自分1人で『マジンガーZ』のあしゅら男爵みたいな感じでね(笑)、新しいキャラクター作っちゃおうかなみたいな感じでやろうとしてたんですけど、じゃあポカスカさんにやってもらうならこれやっちゃおうよ!みたいな。これは本当に面白い、みんなカラオケでやれるのかどうかわからないですけど(笑)。ぜひやっていただけると盛り上がるかなと思うんですけどね。
――また、「That’s“IRONMAN SHOW”」のようにへヴィーでグルーヴィーな楽曲や、「Eros」みたいなハードロッキンなサウンドもありますが、一方で「桜 POP」や「綺麗」、「永遠のYesterday」といったメロディーの綺麗なものが配置されていて、アルバムにいい起伏があるなと思ったんですね。
JIMANG そうですね。アルバムの順番を決めるっていうのは大体ライブの順番を決めるような感じでやるんですよね。頭はなんか驚かしてドーンとやって乗せて、スカっと抜いてバラード、ミディアムやって。また乗せて最後はミディアムバラードで終わっちゃうっていうね。これはもうそのままの路線になってますね。ちなみに「永遠のYesterday」って12曲目なんですけど、曲順を決めるときにこの曲がね、重くて、うぇって胸焼けしそうな(笑)。
――濃厚な1曲ですものね。
JIMANG でね、この曲はミックスでヴォーカルがちょっと低めで。全体的にヴォーカルは低くしているんですけど、「永遠のYesterday」はもっと低くしている。そういう見えない配置もあって、12番バッターの仕事をしてくれているという。シングルカットできるような構成なんだけれども、やっぱりアルバムとして4番バッターばっかりっていうのも試合にならないので、そういうバランスはやっぱり考えましたね。
――そういう濃厚さというか、詰め込むアーティストって、最近なかなかいないじゃないですか。
JIMANG いないですね。いないと思いますね。
――それこそ80年代、90年代みたいなサウンドというか、本作のようにゴージャスなアルバム作りをする人は聴かれないですよね。
JIMANG 自分が聴けるのはやっぱり、サザン(オールスターズ)とかエアロスミスとかですから。田村正和さんのあの髪型も、田村正和さんがやらなくなったら、古びていっちゃうんだけど、田村正和さんがやり続けることにおいて、命の息吹として今も変わらず田村正和カットで、古くはないでしょ。
――確かに(笑)。それこそサザンやエアロは何をやってもサザンでエアロという、聴けば彼らとわかるものがあると思うんですよ。今回の『Eros』は、そういういい意味でのアクの強さがあるんですよね。
JIMANG そうですよね。ヴォーカルを低くしたのもですね、聴こえてくるんですよね、声が。変な話ね、ミックスでヴォーカルを上げていこうとするでしょ。そうするとね、中途半端な上げ方じゃ聴こえなくなるんですよ、俺の声って。立たなくなるっていうか。それは前のミキサーさんに言われたんですけど。で、変な話、単純に落とすだけで聴こえてくるんですよ。
――なるほど。
JIMANG だからエンジニアさんも変わった声だって言いますよね。変わった声を効力としてよく聴こえ、通りやすいので、極力小さく。まあ、あんまり御輿を先頭で担ぐ必要ないのかなみたいな。場所によっちゃ後ろ側でちょこっと目立っているくらいで、御輿に乗る必要ないのかなと思いましたね。
■『Eros』という欲望を肯定
――一方で、このアルバムの中で様々な形のラブソングを描かれてますよね。その幅広さというのもまた、なかなか無いのではないかなと。
JIMANG そうですね、いろんなシチュエーションでラブソングを書いてるんですよ。例えば「I’m FUTURE」は、これ昔からあった詞なんですけど、別々の詞と曲をかけ合わせて親子丼みたいな感じで作りました。この詞はね、100年後の未来まで自分の愛する人を見つけられなくて、えー……100年後はセックスとかキスとかなくなっちゃってDNA操作で子供は生まれる。で、なんかで読んだことあるんだけど、もやもやする瞬間ってあるじゃないですか、子供から大人になる瞬間、なんかむずむずするという。
――第2次性徴的な(笑)。
JIMANG もう、わかんないんですよ。いままでは、『007』のキスシーン見ただけでハァハァなってたのが(笑)、なんか違う。燃えないっていう。そういう感じに女の子が思っているところに、古代から「俺とセックスしようぜ!」と。「君は俺に愛されるために生まれてきたんだよ。俺は君の過去から来たんだけれど、君の未来だ!」みたいな口説きソングだったりね。あとはもう遺書だったりね。別れるその瞬間、ベッドにいてお別れの瞬間何を言おうかっていう男の物語であったり。「Hi Hi MONKEY DANCE」はバレないように悪さしろ!って(笑)。「ROCK ON FREEDOM」なんていうのはもう、若かりし頃、同級生の女の子って早熟だから、先輩の男子とか好きになったりするじゃないですか。
――はいはい(笑)。
JIMANG そういうの歯がゆいでしょ(笑)。「俺を見ろよ!お前が愛するのは俺だろ!」みたいな。そういう若気の至り的なね、無鉄砲さなパワーを。歌詞は自画自賛ですね。バラードとかミディアムはね、やっぱり自分で涙しないとやった感がないんですよ。でも「Talk to you」だけはちょっと小奇麗にまとめちゃったかなーっていう部分がありますね。でも、これ歌入れの3日前くらいにホロっときたんで、「あ、ちょっとこれいけるかな」みたいな。こう、嘘泣きできるかなみたいなね(笑)。
――いやあ、実にボリュームたっぷりなアルバムになりましたが、リリース後にはツアーも控えていますよね。
JIMANG もうライブというものはですね、もちろんその『Eros』のアルバムツアーなので、これメインで行くんですけど、それを込みでひとつひとつのメッセージって、JIMANG本体の伝えたい言葉なんですよね。それがすんなり入るライブになると思います。ひとつのライブを観た後に何を持って帰ってもらうかっていうのが明確な作り方しますので。もう「ああ、なるほど!」という。ぼかしたりするってことはないですね。すべてのMCから何から、もうコレ!この言葉!っていうね。今回は『Eros』という欲望、「あんたの欲望を肯定するためのライブ」というね。もちろん自分も嫌いなところあるんだけど、今はこれが武器さ!みたいなね。「胡散臭い」なんて言われて喜ぶ人間いないでしょう(笑)。胡散臭いって嘘っぽいですからね(笑)。
――今ではトレードマークになってはいますが、ものすごい形容ですよね(笑)。
JIMANG でしょう? 胡散臭い男にですよ、子供預けたりするの嫌でしょ(笑)。
――ただそれがまた味になるといいますか(笑)。
JIMANG まあ、肯定していかないとね。そういう諸々をね、ライブの2時間で見せたいなーっていうのはありますね。
<CD情報>
JIMANG『Eros』
2009年12月23日発売
ティームエンタテインメント
■DVD同梱盤
KDSD-00325
¥3,500(税込)
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※初回限定生産
※DVDには「That’s “IRONMAN SHOW”」PVを収録
■通常盤
KDSD-00327
¥3,150(税込)
![]()
【収録曲】
01. ・・・Introduction
02. That’s “IRONMAN SHOW”
03. Eros
04. ハレルヤ ~Bang Bang Body Line~
05. 桜POP ※オンラインゲーム『メイプルストーリー』2009年12月度テーマソング
06. 綺麗
07. 英雄伝
08. ROCK ON FREEDOM
09. Hi Hi MONKEY DANCE
10. Giri Giri MONSTER
11. I’m FUTURE
12. 永遠のYesterday
13. Talk to you
全曲…作詞・作曲:JIMANG 編曲:福田真一朗、佐々木聡作
<ライブ情報>
JIMANG tour 2010 “Eros”~Bang! Bang! 新春 Dancing show~
2010年1月31日(日)@SHIBUYA BOXX(東京)
16:30開場/17:00開演
2010年2月20日(土)@ell.FITS ALL(名古屋)
17:30開場/18:00開演
2010年2月21日(日)@THE LIVE HOUSE soma(大阪)
17:00開場/17:30開演
チケット代金 全自由¥4,500(税込)ドリンク代別
一般発売 12月19日(土)
*整理券番号順入場
お一人様4枚まで
JIMANG公式サイト:
http://jimang.com/
ティームエンタテインメント公式サイト:
http://www.team-e.co.jp/
©2009 TEAM Entertainment Inc.





















