Asrielメジャー第2弾シングル「穢れ亡き夢」ロングインタビュー

Asriel史上、初のインタビューとなった前回。そのインタビュー前文に、“2008年のAsrielから、決して目を離してはいけない”と書いた。その時はまだ彼らがメジャー・デビューする事は知らされてなかったのだが、あっという間に「Metamorphose」でメジャー・デビューを飾り、その2週間後には2ndシングル「穢れ亡き夢」をリリースするという、恐るべき“赤”と“黒”の快進撃が始まっている。今回はボーカル/作詞のKOKOMIのロング・インタビューだ。進化し続ける彼らから、決して目を離すな!(文:冨田明宏)


――前回の初インタビューの時(昨年の11月下旬ごろ)に、「言いたいんだけど、まだ言えない事が……」とおっしゃられましたよね? あの時の”言えない事”が、まさかメジャー・デビューの事だったとは。それを知った時は驚きましたよ(笑)。

KOKOMI そうなんですよ。既にお話はいただいていたのですが、その時はまだ作品タイトルを公表できなかったもので…。『モノクローム・ファクター』は私自身とても好きな作品で、世界観もAsrielと似ていたので本当に嬉しくて。他にもいろいろとお話はいただいていたのですが、こんなに世界観が合う作品は珍しくて。Asrielとしてこんなに早く大きなお仕事をいただくことができるとは、まだ私も黒瀬も思っておりませんでしたので、本当に、夢のように光栄な事だと思っています。

――改めて、作品との素晴らしいコラボレーションでしたね。「Metamorphose」の歌詞は、どういったプロセスで書かれたんですか?

KOKOMI 原作「モノクローム・ファクター」のマンガを単行本で読ませていただいたのですが、作品の世界観にある、“影の世界と光の世界”、“黒と白”の世界が、Asrielのもつ“赤と黒”の世界と似ていたので、すごく書きやすかったです。『モノクローム・ファクター』のキーワードとなる「闇」や「影」、そういう言葉を入れながら、できるだけ、『モノクローム・ファクター』のオープニングだと分かるような歌詞にしたいなと思って、書かせていただきました。

――原作のファンとAsrielのファン、両方が喜んだ曲になったのではないかと思います。また、メロディやサウンドも、これまでと音楽的な方向性や軸のブレの無さを感じるものでした。ただ、「Metamorphose」やメジャーの楽曲は、アレンジャーが入られた事でさらに音に広がりが出ましたね。

KOKOMI アレンジャーさんはすごいですね。出来上がった曲を聴いて、私も黒瀬も本当に感激してしまったんです。特に「Metamorphose」は、弦を生演奏にしていただきました。音のクオリティも演奏の構成も、やはり作り方がプロだなぁと、つくづく感じました。2枚目のメジャーシングルとなる「穢れ亡き夢」では、塩田さんという方にA面B面と両方担当していただいたのですが、どちらも曲のそれぞれの良さを引き立たせていただき、本当にいろいろと勉強になりました。ファンの方々からの沢山のご感想やご意見も本当にいつも嬉しいです。新しい場所で、常に新しい挑戦をしていけたらと思っています。

――なるほど。Asrielは今まさに過渡期で、状況が移り変わっている真っ最中なのでいろいろな意見もあるとは思うんですけど、僕は「AsrielはAsrielだな」という感想を抱きました。音楽的な方向性と軸にブレがないところは、さすがだなと。それは『11eyes-罪と罰と贖いの少女-』EDテーマ「穢れ亡き夢」にも感じました。

KOKOMI ありがとうございます。そう言っていただけると嬉しいです。でも改めて振り返ると、このレコーディングの時期はほぼ同時に4曲進行だったので、かなりドタバタしていましたね(笑)。

――シングル発売のインターバルが2週間って、滅多にないですよね(笑)。

KOKOMI 担当プロデューサーさんからお話をいただいた時に「『モノクローム・ファクター』と『11eyes-罪と罰と贖いの少女-』の二つでいくよ」と言われていたんですけど、まさかこんなにも時間が無いとは思っていなかったので(笑)、作詞も作曲も急ぎ目で書かせていただいたので、お互いちょっと大変でした。

――いくら年間4枚のアルバムを出すAsrielとは言えども!(笑)。

KOKOMI そうですね。お互い、本当に時間がなくて。「もうダメかもしれない」と弱音を吐きながらやっていました(苦笑)。ただ、この『11eyes-罪と罰と贖いの少女-』というゲームは、「赤い月」や「闇の者たち」という赤と黒の世界観があって、さらに残酷的な、怖い要素もある内容だったんですね。まさにAsrielの作る世界観とも本当によく合っていて。私たちとしても、とても作りやすかったです。タイトルも『11eyes-罪と罰と贖いの少女-』って、Asrielの『夢の繭紡ぐ盲目の輪舞』とかに、どことなく似ているなと思って。難しい漢字って、良いですよね、響きもいいですし(笑)。黒瀬も「このタイトルをいただきたい」と言っていました(笑)。

――なるほど。初めから近い感性を持った作品だったんですね。「沈み行く運命の……」などと歌詞にありますが、かなり過酷な世界や悲しいストーリーを予見させてくれます。

KOKOMI そういった意味でもAsrielとしては「よし来た!」なんて(笑)。

――なるほど(笑)。

KOKOMI Asrielの世界観はハッピーエンドはあまりなくて、かと言ってバッドエンドでもないのですが(笑)、「儚さの中に光を」という世界なので、Asrielの作品と『11eyes』が、そこで一つになれたかな? と思いますね。

――実際に歌われた際は、どういった部分に気をつけましたか?

KOKOMI Aメロはゆったりしているのですが、ドンドン速くなっていくので、とにかくテンポを大事にしました。サビが本当に速いんですよ。でも、サビの盛り上がりをとても大事にしようと思って頑張りました。今回は特に、サビに私の書きたかった事が書けたんです。全体的に『11eyes』の世界観を重視したのですが、このサビの中の「全てが手に入る世界なら『最期』はいらないだろう」という部分は、私が歌詞の中で一番伝えたかったところなんです。『11eyes』の世界でも「全てが手に入る世界なら、最期はいらない」という考え方が出てくるのですが、現実の世界でも、やっぱり絶対に最期は来るんですよね、どんな事でも。最期が来ると分かっていながら、精一杯生きていかなければならないという事は矛盾でもあって。それでも、“最期が来るまで頑張って生きていって欲しい!”という意味を込めて、この歌詞を書いたんです。そうしたら、打ち合わせも無しにCD帯のキャッチに使っていただいていて、サンプル盤を見た時に「担当プロデューサーさんも感じてくださっていたんだ」と、ちょっと感動しました。

――面白いお話ですね。そしてカップリング曲「思いの欠片と信じる欠片」ですが、こちらはAsrielさんの楽曲にたまに登場する、希望を歌う楽曲ですよね。

KOKOMI はい。今までAsrielとして出してきたCDの中でも、アルバムに1曲とか「あれ? これAsriel?」という“白い”曲を入れていたのですが、この曲はそういう曲ですね。今回、「Metamorphose」や「穢れ亡き夢」で初めてAsrielを知ってくださった方には、「これもAsrielなの?」という驚きの曲かもしれないです。でも、新しいAsrielを知っていただくには、良い仕上がりになったと思っています。これは、『11eyes』とは関係なく、Asrielとして自由に作っても構わないということをプロデューサーさんからうかがっていたので、黒瀬も私も楽しんで制作させていただきました。

――この温度差や色の違いが、すごく興味深いですね。

KOKOMI ゆったり聴かせる曲ではあるのですけれども、黒瀬独特の疾走感は残しつつ、聴かせるバラード調という感じですね。

――この曲の歌詞は、KOKOMIさんが普段から思っている事や感じている事が出ているのではないかと思ったのですが。

KOKOMI 書きたかった事が書けました。女の子視点の歌詞なのですが、漠然とした不安みたいなものを描きたかったんですね。不安の理由が分かっていればまだ楽なのですが、漠然とした不安に負けそうになる時って、誰にでも絶対にあると思うんですよ。そういう時期を表現したいなと思って書きました。サビで「小さなきっかけ それが大事だ」と歌っていますが、ここが一番伝えたかった部分です。絶対に、そういう不安はいつか終わるので、負けないように一生懸命頑張ってほしいな、という思いを込めて書かせていただきました。

――前向きな思いを端々に感じる歌詞ですが、現在KOKOMIさんが感じている、漠然とした不安はありますか?

KOKOMI この春に学校を卒業して、アーティストとして活動していく事になり、いろいろな面で生活が変わったんですね。友達も遠い学校に行ってしまったりして。こういうタイアップをいただいてメジャーでCDを出した事によって、今までとは全く違う生活になるかもしれないという不安があったんです。これは私だけではなくて、周りのみんなもそうだと思うんですが、新しい事を始める時って、楽しみや希望に溢れている反面、漠然とした「これからどうなっちゃうんだろう」という不安があって。そのような時期にこの歌詞を書いていたので、そういう気持ちがとても出た歌詞になったかな? と思っています。今は気持ち的にも安定しているので、改めてこの曲を聴いたら「あー、この頃の私は不安だったのかな?」って(笑)。

――今はアーティストとしてすごく前向きで、良い方向に進み始めていますよね。

KOKOMI いやー、常に不安はありますけどね(笑)。でも負けずに頑張っていかなければなぁと思います。

――ここ最近はバタバタとお忙しい期間だったとは思いますけれど、いわゆるメジャーという環境に身を置かれてみて、いかがでしたか?

KOKOMI まだまだいろいろな事が初めてで、本当に毎回緊張してます。でもなにごともパワフルに笑顔で! をモットーに頑張っています。すごく楽しいですね! 新しい事に挑戦することがAsrielは大好きなので、本当にこのような光栄な機会をいただけただけで、嬉しいです。

――先日の『ドリームパーティー』にも参加されましたよね?

KOKOMI はい。もういろいろビックリでした! リハーサルで緊張しすぎてしまって歌詞が出てこなくなってしまう事もあって、「私、本番はダメかもしれない」と思ったんですけど、お客さまが盛り上げてくださって、本番は大きな問題もなく無事に終了しました。いざステージに立ってみると、お客さまが本当にすごい数で。緊張を通り越してだんだん楽しくなってきてしまって(笑)。でも、良いですよね、お客さまが一緒になって盛り上げてくださる一体感。本当に、すごく楽しくて。いつになるかは分からないですけれども、単独ライブとかできたら楽しいだろうなぁと思いました。

――以前にもお聞きしましたけど、「ライブをやってくれ」という要望は今までも強かったと思うんです。『ドリパ』も、ファンとしては待望のイベントだったと思うんですよ。

KOKOMI そうですね。『M3』にCDを買いに来てくださった方から「『ドリームパーティ』に行きました」、「すごい楽しかったです」と直に感想をうかがったので、本当に一安心でした。ありがとうございます!

――単独ライブはぜひ実現してもらいたいなと思うのですが、構想とかはすでにありますか?

KOKOMI 「お客さまとアーティストの距離が近いのが一番いい」と黒瀬がずっと言っています。ハコ……? いわゆる、ビジュアル系の方がやるライブハウス? とか。すごく距離が近いそうで。私はどちらかというと大きなホールとかを目指してしまうんですけど(笑)。でも、一体感のあるライブハウスとかでもやってみたいですね。薔薇とかを沢山飾って(笑)。黒瀬は「ヘッドバンギングとかをしてほしい」と言っていました。

――黒瀬さんは、思考がガチのバンドマンですね。

KOKOMI そうですね。ビジュアル系がルーツにあるので(笑)。でも、こういう曲調だけというこだわりは持たず、いろいろなジャンル、いろいろな曲、歌詞に挑戦していきたいですね。

――分かりました。では、あらためてAsrielとして、今後の野望を聞かせてください。

KOKOMI 新しい挑戦をドンドンやっていきたいという思いがあるので、タイアップ作品の経験はもっと積んでいきたいですね。今まではAsrielは、同人という場所で活動していたので、Asrielを知っている方にしか曲を聴いていただく機会がなかったんですよね。それが、メジャー・デビューをさせていただいた事で「偶然テレビをつけたら流れていた」とか、「ゲームを買ったらエンディングだった」とか、新しいお客さまに聴いていただける機会がすごく増えたんです。これまで以上に、たくさんの方に私たちの曲を聴いていただけるように、もっといろいろな事にチャレンジしていければな、と思っています。そして単独ライブの実現ですね!

――なるほど! これからも追いかけて応援していきます。ありがとうございました!



【関連サイト】
Asriel | Official Web Site
http://www.asriel.jp/




2008年05月22日

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