encounter+、みとせのりこ等出演のライヴ・イベント「Break∽FielD」レポート
いま、同人音楽シーンが熱い――その現象の裏づけともいえるライヴ・イべント「Break∽FielD」が行われた。encounter+、Primary、闇;灯、Mint Jamといったシーンを代表するアクトたちが一堂に会し、またスペシャル・ゲストに『アルトネリコ』でおなじみのみとせのりこを加えた貴重な一夜で、彼らは何を見せようとしたのか。まさに既存のフィールドを破壊するこの圧巻のサウンドは、もっともっと、知られるべきだ。
ここ数年、オーヴァーグラウンドを匹敵するほどの勢いを見せる“同人音楽”というシーン。レコード・メーカーやCDショップに頼ることなく、自由な発想で独自の活動を続けることで多くの支持を得て、現在も増殖を続けている注目すべきシーンのなかで、encounter+をはじめとした現在もっとも勢いのあるアーティストたちが集まるというライヴ・イべント「Break∽FielD」が、10月12日、初台DOORSにて開催された。彼らによるイベントでは、今年6月に御茶ノ水Zippa Hallにて「こんな時こそLIVEをしてみる」が行われているが、encounter+の流歌によるソロ・プロジェクト、Reliance:Tone主催となる今回は規模の拡大はもちろんのこと、初の生バンドを迎えてのステージであるということが大きなトピックとなっている。そんな注目のイベントを目撃しようとフロアには多くのファンが詰め掛け、ある種独特の雰囲気を形成していた。
まずはステージにPrimaryの面々が登場し、「twinkle white snow」でイベントがスタート。フロントマンのゆいこから成るこのバンドは、ゆいこの澄んだヴォーカルとキャッチーで時折叙情性をにじませたポップ・サウンドが特徴的。ライヴとなるとそこにラフなドライヴ感が添加された印象で、序盤から客席を盛り上げていく。途中からencounter+の流歌がアコギとコーラスで参加し、サウンドにさらなる厚みが加わる。中盤の「Jump off」ではゆいこが煽り、観客を含めてジャンプしたりと、トップバッターから早くも観客と一体となるステージを展開していった。
続いて登場したのは、ヴォーカリスト・遊女と作詩家・一石楠耳によるユニット、闇;灯(やみあがり)。「戯言」「ユキミチ」と、アクティヴなPrimaryのステージから一転してダークでアコースティカルなサウンドを響かせ、遊女がコシの強い歌唱を聴かせる。かと思えば、続く「おいしいものが好き」ではキャッチーな一面を覗かせたりと表情豊かでミステリアスなサウンド世界に、観客も身を任せて酔いしれているようだった。
ここで当初発表されていなかったシークレット・ゲストとしてMint Jamが登場。前回の「こんな時こそ~」でもゲスト参加したTERRAとMintJamギターのa2c、今回はVivixからギタリストのGodspeedが参加してのアコースティック・セットを披露。本来はロッキンなサウンドを響かせるMint Jamではあるが、今回のアコースティカルな布陣でのセットではTERRAの伸びやかでソウルフルなヴォーカルがとにかく素晴らしかった。「Road」「Shell Breaker」と2曲のみの演奏だったが、シーンでも名うてのアクトだけに確かなインパクトを客席に残した。
そして、いよいよトリのencounter+が登場。まずは「ライフ」で軽快にセットをスタートさせ、歌詞が全編造語となる「Catena-カテナ-」へ続く。民族音楽を中心に据えながらもメロディーはとにかくキャッチー、そしてバンド・アレンジならではの躍動感がバランス良く配合された見事なサウンドが展開されていく。ヴォーカリストである桃梨のセンシティヴな歌声と、流歌の力強いコーラスの交歓もそうだけど、その実態は音響的モチーフというより、実にロック。非常に熱いステージに客席もどんどんヒート・アップしていく。その後、ヴァイオリニストの三谷峰生を迎えてサウンドがさらに厚みを増していくなか、いよいよスペシャル・ゲストのみとせのりこが登場。その瞬間、会場全体がピリリと引き締まるのを感じる。「蝉時雨」「Lorelei」と彼女の豊かな歌唱の迫力もさることながら、そこにバンドがしっかりとついていき、非常に重層的なサウンドを形成しているさまが印象的だった。最後にはなんとゲーム『クロノクロス』主題歌「RADICAL DREAMERS~盗めない宝石~」をencounter+&みとせで披露というサプライズも。シンプルなアレンジの原曲に対して、流歌のサウンド・エッセンスが存分に注入されたバンド・アレンジとなって蘇った名曲、まさにライヴのラストを飾るに相応しいものとなった。アンコールには出演者全員が集まり、この日のために書き下ろされた新曲「tears…」をプレイ。異常なまでの一体感のまま、4時間に渡るイベントは幕を閉じた。
同人音楽とは定義もサウンド・アプローチも千差万別で、それこそメジャー/インディーといったオーヴァーグラウンドのシーンに匹敵するぐらいの活き活きとした多様性を見せてきている。一方ではDIYでミニマムな手法というひとつの特徴もあるのだが、それがライヴ・ステージという生々しい場において、かつバンド・セットというある種CDとは逆行するようなスタイルを見せつけたこの日のイベント。しかし対極にあった両端を結んだのは、素晴らしい音楽とそれを作り上げるクリエイティヴィティーにほかならない。出演者とオーディエンスがより近く、そして特にあたたかな雰囲気に包まれた4時間という長丁場において、彼ら自身の、そして同人シーンのさまざまな未来が見え隠れする、そんな夜だった。
(文:澄川龍一)
<セットリスト>
■Primary
01. twinkle white snow
02. ASPIRE
03. Azure orbit
04. Jump off
05. Sanctuary
06. Dryard-dimgray-
07. 影
■闇;灯
01. 虚言
02. ユキミチ
03. おいしいものが好き
04. ミルクティを淹れてあげる
05. この世の果て
06. バプテスマの憂鬱
07. 白き獣
08. よみのうたごえ
■MintJam
01. Road
02. Shell Breaker
■encounter+&みとせのりこ
01. ライフ
02. Catena-カテナ-
03. 灰色ベクトル
04. call your name.
05. 蝉時雨
06. Lorelei
07. empty ocean
08. Crystallize
09. RADICAL DREAMERS~盗めない宝石~
アンコール
01. tears…
「Break∽FielD」公式サイト:
http://re-tone.com/bf_live.html





















